相続対策って何?

相続対策って何?

 

よく聞きますよね? 相続対策って言葉…

現預金や金融資産、不動産をある程度お持ちの方には、世間の様々な会社や色々な仕事をしている方などから、または家族や親せき・友人知人などから、言われたり聞かれたり、提案されたり…。

分かっている人には当たり前の事です。

何の事か・どんな事か・何が必要か・何をしないといけないのか、そして…、何が必要無いのかが。

でも…、今まで考えた事が無かった人や、考える必要が無かった人にとっては、初体験です。

言葉は知っていても、漠然とは知っていても、良く分からないと言うのが、正直な所ではないでしょうか?

ましてや自分が気になって考えだす人もいますが、考えたくは無いのに状況によって考えなくてはならなくなった方、もいると思います。

ではまず、『相続対策』ってなに?、という事に付いてですが、

相続対策を一言で言えば…

相続対策は、一言では言えません。

 

 

一言で言えないんです…、残念ながら。

〇〇を☓☓する事ですとか、△△を考えないといけないとか、こうしたら良いなんて。

なぜかと言えば、その方・そのご家庭により、状況も対策も千差万別だからです。

なぜ千差万別かといえば、相続対策を考える場合(特に悩んでいる場合)、考える本人と関係する人の感情が入る余地が大きいからです。

その為個人的には、相続対策とは完全オーダーメイド、ケースバイケースだと思っています。
今まで相談を受けた中で、同じだった事は無いと思っています。
(手法や方策が同じ、使える場合は有りますが。)

 

例えば、手元にいくらかの余裕資金が有り、それを上手く運用したい・投資したいとなった時、何が良いか?・どれが良いか?・投資した方が良いか?・やめておいた方が良いか?、などを考えたり悩んだりすると思います。

また保険に入ろうかとなった時、どれが良いか? 必要か? などとなると思います。

どの商品が良いか?

さて、相続対策を考える時に違うのはどこでしょう?

それは、判断の対象が人なのです。物や商品・サービスでは無いのです。

勿論、現預金や不動産など物的なものも関わっています。
まずは、そこに目が行きがちです。

しかし考え始めると、誰にどれだけ…とか、この子の為に…とか、こうする事がこの子の為になるのだろうか…とか、自分の感情プラス関係する人の事や感情も考えてしまうものです。
ましてや家族の事です。
ただでさえ、関係する事柄が多いのに、プラスして「感情」が大きく絡むのです。

自分と、そして自分以外の。
そうなると、単純ではなくなります。

誰にどれだけ?みんなの考えは?

先程の運用や保険などについては、基本的には自分の判断・考え・感情です。

しかし自分と関係者の感情も考えると、途端に単純な損得勘定では済まなくなってしまいます。

人が2人いると3つ以上の考え方がある、なんてことが何かの本に書いて有りました。
当然、関係者が増えるともっとですよね。

例えば、遺産分割で揉めない様に遺言書を作ってあげよう!となっても、いざ作ろうとした時、「こんな風に勝手に決めてしまって…と、後で子供が怒らないだろうか?」などと考えてしまう事も多いようです。

また、関係する人(家族や後継ぎさん等)に聞けない・相談できない場合や、聞けても解決しない・判断出来ない事も多い様です。

家族や関係者で相談できる方も、もちろんいらっしゃいます。
しかし、全員の意見がピタリと一致なんてことは、あまり有りません。
もしそうだとしたら、悩んでいませんしね。既に対策を考え実施している事でしょう。

その為、相続対策は一言では言えません。

しかしなぜ必要か?は一言で言えます。
自分や家族の幸せの為です。

家族円満・子々孫々
ですので、例えば税金が安くなるとか、たくさん残せるとか、こんな分け方が良いのではとか、その様な事も勿論大切なのですが、その前に今一度、相続対策が必要かどうかを考えてみて下さい。
必要かどうかがハッキリと分からないという場合は、シンプルに必要かどうかを考えましょう。

節税がとか、分け方がとか、得とか損とか、そんな事ではなく、自分の事は自分の事・家族であっても人の事は人の事、なのかどうかを。

もし家族であっても人の事、そう考えるなら相続対策を考える必要は無いでしょう。
自分以外の人が考えるか対処すればいい事です。
そうではない、と言うなら必要でしょう。
自分と家族と、どちらも一緒に大事という事なら必要でしょう。
なぜ、この様な事をわざわざ書いたかと言えば、相続対策で悩んでいる方に多いのは、えてして何をすれば良いか?どうすれば良いか?に悩みがちなのです。
その点にどうしても、目や考えが行きがちなのです。

違うんです、

自分と家族の幸せは、こうだ!、こうなるのが良い!、と言う事が分かってから次に、どうやってそうするかです。

それが分かって初めて、どうする、こうする、の順なのです。

それが分かって初めて、どうすれば良い?なのです。

そうなって初めて、どうやってそれに近づいて行くか?なのです。

 

ですから相続対策とは、自分と家族の幸せは、こうだ!こうなるのが良い!と考える事だと言えるかもしれません。

やれ節税の為にどうすればとか、遺産分けで揉めない様に遺言書をとか、賃貸マンションを建ててどうとか、それは枝葉の部分です。

大元の根っこや幹の部分の、自分と家族の幸せは、こうだ!こうなるのが良い!という事が分からなければ、その枝葉の部分の事なんて分からない筈です決められない筈です。

この考えが無いと、相続対策の為に何かを勉強したり学んだりしても、誰かに相談したり教えてもらったりしても、自分に必要な事かどうか・関係が有る事なのかどうかが分かっていない為、なかなかか頭に入りません。
”自分と家族に必要な事や関係の有る事”に、なかなか出会えません。

ゴールが決まらなければ、方角は分かりません。その方角へ、進めません。
具体的な事は、その先です。
具体的な事は、それこそ専門家に任せても良いのです。

そうは言われてもなぁ、やっぱりどんな事か多少でも分からないと考えられない…
と、いう方もいる事でしょう。

しかし、あえてこの様な事を書いているのは、相続対策の相談を受けていると、そのスタート地点・目的を見失っている方が、結構いらっしゃるからです。

同時に、そこから考えないと判断がつかない・決断できない事も出てくるからです。
間違った方向に進みかねないからです。

なかなか納得しずらいという方の為に、たとえ話を。

納得頂けるかどうか分かりませんが、ある方が言っていました。

『相続対策とは、奥さんやお子さん達への愛情表現なんです』って。

どういう事かといえば、『対策』と言うぐらいですから、まだ来ていない・いつ来るか分からない未来の事、に対する準備です。

相続対策が必要、考えないといけない、気になる、などという方は、多かれ少なかれ相続される方の幸せを考えての事だと思います。
良くしてあげたい、損させたくない、揉めさせたくない、などでしょう。

しかし見逃してはいけないのは、相続が発生したその時は、本人はもうこの世の人では有りません。
その時になって何とかしようとしても、何ともなりません。

その対策が出来るのは(基本的に)本人のみなのです。

その”対策”が出来るのは、事前にしか出来ないのです。

まだ”その時”が来ていない為、誰しも重い腰が上がりにくいものです。
しかし、それでもしておいてあげるかどうかは、気持ちですよね?
つまり、愛情表現、みたいなものですよね。

「相続対策」というものの相談を受けて、(検討の末に必要無しとなった方は別にして、)必要なのに何もされない、先送りばかり、という方に多いように感じるのが、その対策や手法が得か損かに気が行っている方や、”準備しておいてあげる”という意識が薄い方の様に思います。
準備しておいてあげる、念の為、一応。
これは、保険に入る事を考える、という事に似ているかも知れません。

例えば、がん保険。(何保険でもいいのですが)

がんになった事が無い人や、友人・知人・家族にがんになった方がいない人、ずっと健康そのもので健康診断でも何も指摘が無い方などは、正直、対岸の火事、他人事、というように実感が薄い方も多いのではないでしょうか?

しかし、がんになった事がある人、家族をがんで失った事がある人などは、今そこに有る危機です。
その様な人ほど、がん保険に付いてより真剣に考えるでしょう。

そうなんです、危機が訪れた人でないと、なかなか実感できないのです。

また、がんの人はがん保険に入れません。

相続対策も同様ではないでしょうか?揉めてしまってからでは、対策出来ません。(揉めてからするのは、対策ではなく対処です。)

がん保険に入っても、がんにならなければ保険金はおりませんし、補償の必要も有りません。
相続対策しても、相続が発生するまではあまり関係が有りませんし、揉めたり・損したりしなければ対策自体が必要無かったかもしれません。

しかし、がん保険に入っていれば、安心が手に入ります。
そして万が一の時には、保険金がおります。 

相続対策をしておけば安心が手に入る、万が一の時には効果を発揮する、と言う事ではないでしょうか。

がん保険に入るのに、保険料が必要です。
相続対策をするのに、考えたり相談したり準備したりする事が必要です。

よく似ているかも、と思うのは私だけでしょうか?

さて、相続対策をご家族で相談する・したいという方もいらっしゃると思います。

しかしその、「ご家族で」という事に、悩んでいる方もいらっしゃいます。

今までに相続対策のお手伝いを、少なからずやってきましたが、内容も千差万別なら、難易度も千差万別です。
資産家の方なら、不動産会社・金融機関・証券会社・保険会社などから、いやと言うほど相続対策の提案を受けてこられた事と思います。
そして解決出来た方、出来ないでいる方、様々だと思います。
その中で、解決出来ないでおられる方の参考に少しでもなればと思い、過去の体験談を記させて頂きます。

資産家の方なら、節税対策がまず話しに出てくると思います。
私も以前、会社に勤めているときは、その流れが一番多かったと思います。

勿論とても重要なのですが、相続対策がなかなか出来ていないと言う方の多くに、分割や跡継ぎ問題が解決できず、対策出来ない・出来ていないと言う方が多かったと思います。

それはなぜかと言えば、家族での話し合いや相談が、出来ない・出来ていないからでした。
言葉にすると簡単ですが、それが悩みの種の方にとっては解決のしようがありません。

例えばあるご家庭の場合は、ご主人さんと息子さん両方とお会いしていましたが、お二人そろっての機会はありませんでした。

別々にお話しすると、お二人とも相続対策の必要性は十分理解されておられ、そして効果も高いものでした。

お二人とも相続対策はするべきとの意見です。対策の内容も納得されていました。

しかし、話は一向に進まないのです。

色々お話をお伺いするうちに解ったのは…、
ご主人は「これからは息子の代の事だから、極力任せてあまり口出ししたくない。あまり口を出すと、息子が気を使って息子の考える事が出来なくなってダメだから。」と思っておられ、
息子さんは「なんと言っても父親の財産なんだから、息子の俺から口を出すのはよくない。口を出すと父親が死ぬのを待っているみたいだし…」との事。

傍から見ると何の事はない話なのですが、当の二人にとっては解決不可能です。

なぜなら、当人同士は相手に自分から言わない方が良い、と思ってる訳ですから。

その時は私からお二人に話が有りますと(別の理由を付けて)集まってもらい、実は…とお互いに思っておられる事を、私の方から説明をして納得してもらい進められました。
何だそんな簡単な話し、と言われそうですが実は多いんです。似たようなことが。

お互いの考えが合わないと…

違うパターンもあります。

すでに家族内でもめていて、話しあいが出来ないパターンです。

長男はこう言う、次男は話を聞かない、父親の考えはまた違う、などです。

この場合のパターンで、単なる誤解が引き金になっていたと言う事も多く有りました。
よくよく説明すると、「なんだそういう事か!」と納得して頂けた事も。
どちらのパターンも違う意味で、感情論が先行してしまっていたのです。

感情が先行してしまうと、感情論に終始しがちになりかねません。

相続対策を考える時は、

『落ち着いて考える・話す』

『客観的に考える・話す』

事がとても重要だと思います。

どんな手法が良いか、どれが一番税金が安いかも重要ですが、対策が実施出来なければ意味はありません。

「こんな方法が…」と言う事に目が行きがちですが、相続と言うのは、人と人の繋がりの問題なのです。家族や家系や縁の問題なのです。
本人や家族の、思い・幸せを実現する為の相続対策です。
落ち着いて、客観的に考えましょう

そして、ご家族で話し合いや相談が出来るかどうか?
また、家族での話し合いや相談をした方が良いかどうかも…。

相談出来るなら、ご家族で相談しながら進めましょう。

相談出来ないなら、「ご家族で相談が出来ない・しない」前提で対策を考えましょう。

どちらの場合が正解で、どちらが間違い、なんてことは有りません。

どちらの場合でも、愛情表現としての相続対策は可能なのですから。


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