納税対策…???

納税対策?

 

納税対策って、あまり聞かない…

相続対策の納税に付いて考えた事がある人は…、実は意外に少ないと思います。

私の経験上、『納税』自体に付いて相談されることは、殆ど有りません。

なぜなんでしょう?

1つは、やはり“いくら?”と言った金額や、“安く出来ないか?”と言った節税策に、気が行きがちだからだと思います。

いったいいくらなのか、安くならないのか

もう一つは、今払うものでは無い為に、実感が持てない事も有るでしょう。

いづれ納税、つまり今ではない

たいていの場合、「今の現預金や金融資産では、相続税の支払いに足りない」となると同時に、節税策などに、すぐに考えが行ってしまい、その事自体を考える事が少なくなるという事も有るでしょう。

また、“納税”自体が懐具合の話の為、他人に相談する・話す事が少ない事も有ると思います。
せいぜい世間話として、「〇〇さんの家は、相続税が払えず土地売ったみたい…」ぐらいを、聞く程度だと思います。

しかし!ものすごく大切な事なんです。
『対策』としての納税について考える事は。

なぜあえてこのような事を書いたかと言えば、相続対策をして失敗だったという方の大きな原因の1つが有るからです。

それは、“納税”をあまり考えていなかったから、と言う事があるからです。

相続される方が1人しかいない場合は、考えやすいのです。
資産全体で考えて、現預金や金融資産で足りるか足りないか?で、殆どすむ場合が多いからです。

しかし2人以上いる場合は、そう簡単では有りません。
なぜかと言えば、全体では足りていても各人への分け方で各人の納税額も変わりますし、“相続”の発生状況によっても変わるからです。

分かりやすく言うと、“納税”をするのは財産を受け継いだ人です。
受け継いだ財産に応じて、“納税”するのです。
受け継いだ財産と言うのは、金額に換算します。評価額と言う形で。

しかし、受け継いだ財産が不動産ばかりだと、どうでしょう?

受け継いだ財産、特に不動産の金額(評価額)と言うものは、意外に高額になります。
(これは、実際に売れる金額の実勢価格とは、別物です。)
そして、“納税”は基本的に現金納付です。

すると、確かに不動産は受け継いだが、現預金や金融資産等を受け継いでいない(少ない)場合、払うお金が無い・足りない、と言った事態が発生する事が有ります。

簡略していうと、相続人が2人で全相続財産は金額(評価額)にして2億円だが、1億円分は現金、1億円分は不動産でマンションだった場合、現金とマンションで分けて相続すると半分ずつです。
現金を受け継いだ方は、その中から支払えます。
しかし、マンションを受け継いだ方は、もともと自分で持っているか、借りて来るか、マンションを売って払うか、などをしなくてはならなくなる、というような事態です。

お金は分けやすいが、建物や土地は分けにくい

知っている方にとっては、そんな初歩的な事…と言った話でしょう。

しかし、この事を考えていないケースが、意外に多いのです。
特に、相続対策が失敗だったという方には。

なぜ、失敗したのでしょう?

それは全体の税額や節税額など、一部しか考えていなかったからです。
遺産分割などの分ける事や節税策は考えていても、分けた後の事を考えていなかったからです。

では、どうすれば良いでしょう?

一言です。同時に考えておくのです。

しかし実は…、この件を解決・検討するのは、難しい場合が多いのです。

何が難しいかと言えば、金融資産だけの方ならば分かり易いのですが、不動産などが絡んでいると先程の受け継ぐ財産の金額=評価額を算出しないといけないからです。
しかも、この評価額と言うものが曲者で、計算が専門家でないと難しい上に、相続発生時点の税制により変わってしまうからです。
つまり、“今”計算してもその金額(評価額)かどうか、その時=相続発生時まで正確には分からないのです。

今はこうです

その為言いにくい事ですが、専門家の中でもこの件に、あえてあまり触れない方もいます。
“その時”にならないと、正確な事が言えないからです。
金額(評価額)もそうならば、この問題は分け方によっても変わります。
その分け方も、その時=相続発生時までに変わっている可能性も、もちろんあります。
専門家(特に資格を持っている方)であるが故に、一歩間違えると問題になりかねない場合が考えられるからです。

ましてやその件に深く検討・関わっていくと、“分け方”自体に口を出さざるを得ない場合も出てくるかもしれません。
相続対策での“分け方”(分割案)は、基本的に本人や相続人が決める事です。
そこに、専門家(プロ)とは言え「こう分けなさい…」とか「この方が…」なんて、口をはさむのは基本的には難しいでしょうし、本来すべきではないでしょう。
(後から関係者=相続人に、あなたが言ったから…、なんて事になると大問題です。)

と、いう様な事も有り、単に予想納税額の金額(現時点)を計算するだけや全体での試算ならば、たいていしてもらえるでしょうが、正確な分割案を基にして計算した結果として不足する人が出てきたとなった場合に、分け方(分割案)を「どうすれば良いですか?」と聞かれると、立場上答えずらい場合も有るのです。

分割案が決まらなければ、正確な納税額の試算も当然出来ません。

では、どうすれば良いでしょう?
(専門家等に相談する事を前提にします。)

納税の件に触れない・触れてくれない場合は、こちらから聞いた方が良いでしょう。
「今の段階で、みんな(各相続人)、納税には問題無いですか?」といった聞き方で。
「その時(相続発生時)に、変わっているかもしれないのは分かっていますが…」と伝えた上で。

それで有れば、相談を受けた方も答えやすいでしょう。

また、不足する人が出てくると分かった場合、こちらから違う分け方(分割案)ではどうだろうか?と聞いた方が良いですし、やはり専門家から何がしかの“案”や“アドバイス”が欲しい場合は、「参考にしたいので、どんな“分割案”が代わりに検討でそうか、教えてもらえませんか? あくまで“参考”としてですが。」と、あくまで参考として聞くと言う事を伝えた方が良いでしょう。

間違っても、「専門家・プロとして、問題が発生しない分割案を考えてくれ!」なんて言っては…ですよ。
(まあ、任せなさい!と、言いきる人もいるかもしれませんが…。)

この様に書いていると、「じゃあ、解決のしようが無いの?」と思うかもしれませんが、相続財産の内容と分け方(分割案)によっては、もちろん十分な案が出る事も有ります。

何らかの対策で十分な効果を得られ、心配の必要が無くなる事も有るでしょう。
また、十分な現預金を準備する事も一つでしょうし、不足した時の事を想定して第二の策を別途準備しておくことも一つでしょう。

しかしこれらの事は、おそらく個人で検討するのはかなり難しいと思います。

その為、余裕を持った事前の対策を考えるか、もしくは専門家のバックアップが必要だと思います。
専門家のバックアップも、一時のものではなく定期的な検証や見直しが必要でしょう。

 

だんだん、話しが深く重くなってきたので、この件で悩んでいるという方の参考に…。

この“納税”については、考え出すと結論が出ない事が有ります。

それは、相続対策を考える際に他の“分割”や“節税”などの事と関係が深い為に、単独では考えづらいのです。
一旦はOKとなっても、分割内容が変わる、節税策を行う、などによって変わってしまうからです。
また本当に大丈夫かどうか?は、“その時”まで分からない事でもある為です。
その為、この“納税”だけを考えるというよりも、他の分割や節税などと一緒に考えるという事を、意識すると言う事が大切だと思います。
他の事を考えて、その事の仕上げのとして大丈夫かどうか?という様な、チェックをするという考え方の方が、解決しやすいようにも思います。
本来は、真っ先に考える事ですが。)


また、色々な対策を考えているんだが、どうしても支払いに足りない、と言う場合も有るかもしれません。

分かり易い例としては、相続財産の内訳が極端に不動産が多く、どう分けても・節税策を行ったとしても、足りない事が予想されると言ったケースです。

この場合、いつ来るか分からない“その時”(相続発生)なので…。

はっきり言えないのですが、時間があまりない場合には、選択肢は少なくなります。
専門家からは、物納や延納などの提案が有るかもしれませんし、場合によっては金融機関から借り入れを行って支払える様に準備する、なんていう事も有りうるかもしれません。

時間が有る程度有りそうな場合は、納税資金作りや事前の移転などの策を取り、時間をかけながら総合的に行っていく事になるでしょう。

どちらにしても、もしこの件で悩んでいるという方がいるなら申し訳ないのですが、100%の解決策は出てこない場合も有ります。

それらの場合の一番の原因は、いつ来るか分からない?と言う事だと思います。
時間がどれだけあるか分かっていれば、出来る事・出来ない事がはっきりするでしょう。

しかし、時間がどれだけあるか分からない場合は、どの策が一番良いのか?もっと良い方法は無いのか?と言った事に、結論が出しにくくなります。
その為、“コレで解決”という事になるのが一番なのですが、そうでは無い場合は、考え方を逆転してみる事も一つだと思います。

それは、「今この時点でのこの状況からスタートして、その時が来るまでにどれだけよく出来るか?」といった発想です。

いつ、その時が来るのか分かりません。それは“神のみぞ知る”です。

その為、“今”解決をするのでは無く、“今からその時まで”解決策を取って行く、より良くなるようにして行く、という発想です。

もちろん結果は、その時まで分かりません。
しかし逆に言えば、まだその時(相続発生)は来ていないのです。
どれだけかは分かりませんが、時間はまだ有るのです。

悩んだまま時間が過ぎていく方が、改善できる時間を失っていく事になるので、損かもしれません。

その様な考え方も一つではないでしょうか?

これもダメ、あれもダメ、…、と言う事ではなく、コレが出来るかもしれない、アレが出来るかもしれない、そうすれば(現状より)もっとよくなる!といった考え方も一つでは無いでしょうか?


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