融資でお金を借りる時に考える事の基本的事項

融資でお金を借りる時に考える事の基本的事項

  融資でお金を借りる時に考える事の基本的事項。

       (入門・初心者向け)

  借入金額(残債)、金利、期間。

土地活用で融資を受ける場合も、収益物件を購入する為に融資を受ける場合も、融資の利用という物は大きなポイントです。
中には現金で、活用や購入をされる方もいらっしゃいますが、少数派です。

融資を受ける事に対するメリットは、とても大きなものが有ると思います。
その活用や購入が可能になる訳ですから。

しかし、当然デメリット=リスクも有ります。

可能性としては、金利上昇等による返済額の上昇などでしょう。
その場合にリスクとなるのは、返済額の上昇による手残り収入の減少ですし、それが更に進むと返済不可能となります。

ただし手残り収入の減少はともかくとして、返済不可能となるのは金利の上昇だけでなる事は、可能性としては低いものです。

一番影響が大きいのは、収入額自体の変化(減少)でしょう。
しかし、大家さん・事業をする側の立場から考えると、両方が大事な問題です。

よく見かけるのは、その収入となる家賃などには普段から敏感ですが、融資については借りる時にはすごく気にするものの、普段は殆ど関心が無い・検証しない、という方です。

普段関心が有る事。普段はあまり関心が無い事。
たしかに借りた後は、金融機関から返済の明細が送られてくる程度で、あまり普段の話題にはなりにくいから、という事も有るでしょう。

また、金利を上げるか下げるかは金融機関側が決める事でも有り、借りた側は基本的には受け身ですので、関心が家賃収入などに比べて相対的に低くなってもしようがない面も有ると思います。

更には、この融資の返済計画をシュミレーションするという事が、知識やスキルの無い方には、なかなかしづらい・出来ない、と言う事も有ると思います。
融資・ローンというものに付いて勉強した方や、又は専門家やプロでないとなかなか出来ない事も多いと思います。

そこで、融資というものがよく分からない・あまり理解できていない、という方の為に基本的な事を書きたいと思います。

(大抵の場合は元利均等返済ですので、元金均等返済に付いては記述しません。)

(一般住宅向けの話では有りませんので、ボーナス併用に付いても記述しません。)

なお詳細な計算方法自体は、ここでは書きません。
複雑になってしまうので。

融資についての詳細に興味のある方は、他でお調べ下さい。
試算(シュミレーション)も、それらが行えるホームページなども有りますので、それらをご活用ください。
(参考→住宅金融支援機構・住宅ローンシミュレーションのページ

融資・ローンの基本的事項

先ず大原則として、融資を考える際には、

・借入金額(残債)
・金利
・期間

の3つが関係する事項です。

そして、毎月(毎回)の返済額(金利分・元本分)というものは、どの月(どの回)でも、その3つの事項を元に、その返済回数分計算されて算出されています。

基本的には毎月払いですので、30年の融資の場合には、年12ヶ月×30年=360回分計算する事になります。
金利については、一般的に言われる金利を12で割ります。
(年間の金利から、月ごとの金利変える)

第一回目の返済額は、当初の借入金額と金利・期間(回数)から、第一回目の金利分と元本分を算出して足したものです。
そして借入金額から、その元本部分を引いた金額が、残債(残りの借りている金額)です。

第二回目は、その残債と金利と残りの期間(回数)を元に、返済する金利分と元本分を算出します。第一回目と同様に残債から、この回の元本部分を引いた額が、次の残債です。

という様な事を、その返済回数分繰り返します。

毎月(毎回)ごとの算出金額を並べると膨大な量になりますので、試算はたいてい年ごとに集計します。
その方が分かり易いので。

例えばこんな感じ。(筆者作成)

借入金額:10,000万円
金利:3%
期間:30年

ローン試算表、借入金10,000万円、金利3%、借入期間30年

(表をクリックすると拡大します。)

ローン試算グラフ、借入金10,000万円、金利3%、借入期間30年

(グラフをクリックすると拡大します。)

(注:計算回数が多い事、小数点以下何桁まで計算するか、四捨五入するか切り捨てか、等の処理により計算した数値は変わりますので、筆者作成分は1,000円未満の数値は無視して万円単位で考えて下さい。実際の融資の返済額は、金融機関ごとに処理の仕方が違う場合が有りますので、その金融機関から明細をもらわないと、1円単位での正確性は出ません。)

借入期間中に金利が一定なら、この表とグラフの様になります。
元利均等ですから、返済額は一定です。
ただし、返済額の内訳は毎年(毎回)違います。
この内訳が違う、という所がポイントです。

今回は、融資についての基本的な事項についてですので、条件が変わった場合はどうなるかを見てみましょう。

金利が変わった場合。

金利が下がる分には問題が無いので、上がった時を試算してみます。

借入金額:10,000万円(同じ)
金利:3-4-5%(10年毎に上がっていく)
期間:30年(同じ)

ローン試算表、借入金10,000万円、金利3-4-5%、借入期間30年

(表をクリックすると拡大します。)

ローン資産グラフ、借入金10,000万円、金利3-4-5%、借入期間30年

(グラフをクリックすると拡大します。)

ポイントは、金利が変わると返済額が変わるのはモチロンですが、その返済額の内訳も変わる事です。

これは、元利均等返済の計算方法によるものです。
決して、返済額の中の金利分だけが変わっている訳では有りません。

金利が上がる(ローンの計算条件が変わる)と、その時点以降に付いて、その変わった条件を元に全て計算し直す事になります。
このケースだと金利が変わると、内訳として金利分が増えるのと同時に、返済する元本部分がいったん少なっている事がポイントです。
(モチロン、全体通期での元本の返済総額は変わりません。)
20年目以降も、同様な変化をしています。

期間が変わった場合。

借入金額:10,000万円(同じ)
金利:3%(同じ)
期間:20年(30年→20年)

ローン試算表、借入金10,000万円、金利3%、借入期間20年(表をクリックすると拡大します。)

ローン試算グラフ、借入金10,000万円、金利3%、借入期間20年(グラフをクリックすると拡大します。)

毎回の返済額は、増加します。
期間が短くなりますので、返済内訳の元本部分が多くなる為です。
(元本の返済総額は、当然変わりません。)

しかし計算上から、毎回の金利分が(正確には返済2回目以降)少なくなります。これは、元本の返済が早く進む(残債が減るのが早い)からです。
ポイントは、全体通期での金利分の返済総額が少なくなる事です。

金利と期間が変わった場合。

借入金額:10,000万円(同じ)
金利:3-4%(10年毎に上がっていく)
期間:20年(30年→20年)

ローン試算表、借入金10,000万円、金利3-4%、借入期間20年(表をクリックすると拡大します。)
ローン資産グラフ、借入金10,000万円、金利3-4%、借入期間20年(グラフをクリックすると拡大します。)

期間が短くなり金利が上昇しますので、先ほどまでの金利上昇と期間が短くなった場合の両方を合わせたような内容に、当然なります。

借入期間や金利の違いを比較してみて

今まで見てきた4パターンが、融資を考える・比較検討する時に理解しておいた方が良い基本パターンです。
初心者の方には、どこがポイントか?何を比較検討すれば良いのか?慣れるまでは分かりにくいと思います。

まずは、計算方法などはよく分からなくても、この4パターンに出る違いを覚える事が大切です。

条件が変われば、返済額が変わるのは誰でも良く知っています。
しかし、その内訳が変わっている事、それがその後にどんな影響が有るかについては、なかなか考えている人はいません。

そして、繰上返済などのローンについての対策は、基本的にこの4パターンの組み合わせや比較で考える事ができるようになりますので、まずはこれらの違いが有ると言う事が、すぐに頭に浮かぶかどうか、が差になります。
(例えば10年後に一部を繰上返済する場合は、残債からその繰上分を引いた額を元に、それ以降分を再計算すると言う事。)

 

 

 

当初借入をする時は、土地の有効活用の場合も収益物件の購入の場合も、金融機関からの条件そのままでの借入の場合が多いと思います。

その際、金融機関との交渉の中で金利が上昇した時などの返済額等の試算をするケースも、少しは有ると思います。

しかし、借入後は金融機関からローンについて、借りた側の為のその時のローンの状況や将来の話しは殆ど出ません。
それは、約定通り返済がされていれば、基本的に金融機関側から何かを言う必要は無いからです。
口を出すのは、返済が滞った場合や、その可能性が出てきた場合です。

しかし、大家さん・事業をしている側からすると、“金利が上昇する”事は、“家賃収入が減少する”事となった時と同様に、手残り収入が減ってしまいますので、とても大事なポイントです。
手残り収入が減ってしまうだけで済んでいるうちは良いのですが、それが更に進むと、返済不能となりかねません。

借り入れる当初は金融機関からの条件通りで借りる事が多いのに、なぜ、当初からこれらのローンの内容に注意を払った方が良いかといえば、繰上返済などの手法で将来のリスクを低減する事ができたり、収益性をアップさせたりできる可能性が有るのですが、基本的には誰も教えてくれません。
(別の投稿記事→融資を受けている間に考える事

先程も言った様に、金融機関は基本的に返済に問題が無ければ何も言いません。
例えば有効活用として何かを建てたり、収益物件を買ったりしても、建設会社や不動産会社もローンについて口を挟む事は、借りる時を除いて殆ど有りません。
ましてや、賃貸事業をしていてどこかの会社に仲介をお願いしているとしても、仲介会社などもローンについては関係のない話です。

つまり、基本的には自分で考えないといけないのです。

 

 

事業をしている大家さんにとっては、金利の上昇などは収入に直結するとても大事な部分です。

しかし、その大事な部分のローンについて何かの対策をするという事は、作戦を自分で立てないといけません。

そして一番大事な事は、金利上昇や家賃収入の減少が起きてから対応するのは、大変なのです。

その為、借り入れ当初からローンの返済終了までの事に付いて、考えておかなければなりません。

  • 金利が上昇した時にどうするか?
  • 家賃収入が減少した時にどうするか?

それらの作戦を立てる為には、先ほどの4パターンのローンの内容の違いが、分かる必要が有ります。

そして、

  • 金利がいつ、どれぐらい上昇するかもしれないか? 
  • そしてその時の返済額や残債はいくらになっているか?
  • 家賃収入はどれぐらいになっている可能性があるか?
  • そうなった時の対処法は準備できているかどうか?

を考えるには、融資のみだけではなく、家賃収入も一緒に比較検討する事が必要になります。
大家さん・事業をする側にとっては、両方関係しての手残り収入なのですから。

そうなればなおの事、大家さん・事業をする側の人が考えないといけない事では、ないでしょうか。
そうなった時に対処できるように。


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