誰に相談すれば?

誰に相談すれば?

 

   誰に相談したら良いのだろう?

誰に相談したら良いか分からない、という悩みもよく聞きます。

これは私の経験上ですが、この悩みの場合には2つのパターンが多いと思います。

1つは『悩んでいる事』に対する知識が乏しくて、誰に相談したら良いのかが分からないパターン。

もう1つは、その問題点を解決するのは、どういった人なのか?(誰が適任者か?)が分からないパターンです。

これらの事は、相続対策を例に考えると解り易いかもしれません。

1つ目の『悩んでいる事』に対する知識が乏しくて、誰に相談したら良いのかが分からない方というパターンは…、意外に多く聞きます。

 

悩んでいる事、それ自体が分からない?

これは、考えてみれば当たり前の話しかもしれません。
相続対策で言えば、ご自身で『相続』という事に直接関わった事が無い方が多いからです。(勿論、葬儀に出たり、身内や近い人が亡くなったりで、見たり聞いたりはしていると思います。)
普通に考えれば、通常自分が直接『相続』という事に関係する機会は、せいぜい4~5回程度です。ご自身と配偶者の両親の4人と、場合により配偶者です。
ですが相続対策を考えると言う事は、どちらかと言えばご両親の側が考える事が多いので、関わる事も少ないと思います。
また、配偶者のご両親の事に関わる事も少ないでしょう。
すると…、一生の間に何度も『相続』と言う事に関わった事が有る人自体が、少ないのです。
ですので、どの様な事が関わってくるのか? まして細かい事や専門的な事なんて、知らないのが普通なんです。

となると、漠然と『相続』というものを知ってはいますが、いざ内容や細かい事を考えようとしても、弁護士さんに相談したらいいのか?、税理士さんに相談したらいいのか?、はたまたよく相続対策で…と話をしてくれる金融機関や建設会社に相談したらよいのか?、と悩んでしまうのです。

 

この様な場合、どうすれば良いのでしょうか?

実は…、探すしか有りません。

知識の無いあなたに、知識が無い事を前提に、その事自体から教えてくれる・アドバイスしてくれる人をです。
(〇〇の専門家というだけでなく、〇〇自体についても教えてくれる人、と言う事です。)

 

基本的な事から教えてくれる

 

専門家は沢山います。でも、専門家には当たり前の事でも、それを知らない一般人にはチンプンカンプンという言葉や事柄、また専門家と一般では同じ言葉でも意味や内容が違う・とらえ方が違うという事も有る、などの事を含めて教えてくれる・アドバイスしてくれる人をです。
疑問・質問にそれを前提として、教えてくれる・アドバイスしてくれるという事です。

 

例えば弁護士さんに相談して、相続対策で遺言書を作りましょう!という話が有ったとします。

 

 

弁護士さんA(普通の弁護士さん)
「遺言書を作ると、将来お子さん方が遺産の分け方で揉めても、その遺言書通りに遺産分割が出来ます。」

(弁護士さんなどにこう言われると、それしかないんだ…とか、頭の中が???でもつい「分かりました」って言ってしまいませんか?。するとその先は、もう聞きづらいですよね…)

「もし揉めても、法律上遺言書が優先されます。で、遺言書を作るには、今後必要書類を用意して頂く事と、分割内容を決めて頂いて…をします。」

 

弁護士さんB(感の良い弁護士さん)

 

「遺言書を作ると、将来お子さん方が遺産の分け方で揉めても、その遺言書通りに遺産分割が出来ます。」

(弁護士さんが、この相談に来た人は良く理解出来ていないな!とピーンと感じると。)

「ちなみに良く聞く遺言書ですが、遺言書と言うものは亡くなられた方の御意思を尊重するという役割が有って、決められた要点を満たしている物が有効です。

じゃあ遺産の分け方で揉めるって言いますがどんな事かと申しますと、△△になった場合や☓☓になった時です。そうなると~~になるかもしれませんし…という事も考えられます。その時に…ですので、遺言書を作っておくのが良いと思います。」

 

弁護士さんC(聞きやすい弁護士さん)
「遺言書を作ると、将来お子さん方が遺産の分け方で揉めても、その遺言書通りに遺産分割が出来ます。」

(遺言書っていうのは知っているけど、実はその遺言書がよく分からいんだよなぁ~。それに遺産の分け方で揉めるって言っても、私はよう決めないので子供らが考えればいいんじゃあないの…?)

「とは言っても、人生の中で遺言書を作るなんて何度も有る訳ではないですし、やった事が無い人が殆どなので、何か分からない事とか疑問とか有りませんか?。

そもそも遺言書って何って、良く聞かれるんですよ。ですから何でも聞いてくださいね!」

『先生、遺言書って自分で作っても大丈夫ですか?と言うか、遺言書って…何ですか?子供たちがその時考えればいい事じゃないんですか?』

「もっともな疑問ですよね。遺言書というものは~~~と言うものなんですね。じゃあなぜそんな事が決まっているの?、必要なの?って事ですが、~~~なんですね。

でも、そもそも子供たちが考えれば良い事なんじゃないんの?なんてことも言われます。

実はそうでもあるんです。円満解決にお子さん方が決められるんなら必要ありません。

しかしそこでお子さん方が◇◇◇となった時や〇〇〇となった時に、△△△という風に…」

 

さてどの弁護士さんに相談したいでしょうか?BかCの先生では有りませんか?もしくはB+Cの先生では有りませんか?
そうなんです、誰に相談したら良いか分からないという方の悩みの多くは、〇〇はどの専門家?誰が良いの?とかではなく、実は〇〇自体を分かり易く教えてくれる、〇〇を私に理解させてくれる人を探さないといけない、という事が多いのです。

(モチロン、同時に解決もしてくれる人。)

 

 

 

しかし、この様な人を探すのは意外に難しいものです。

遺言書に付いて詳しい人となれば、当然弁護士さんです。”弁護士さん”を探すだけなら、電話帳にいくらでも載っていますし弁護士協会などに聞けばいくらでも紹介してくれます。

しかし、専門知識や能力が有る事・高い事と、説明やアドバイスが上手いかどうか・分かり易いかどうかは、実は別の能力・技能(や人柄)なのです。免許や資格では有りません。

とりあえず聞くだけなら、無責任な話かもしれませんが関係の有りそうな専門家に聞けば大丈夫です。何故そう言うかといえば、例えば私の様なファイナンシャルプランナーは勿論ですし、弁護士さんや税理士さんなんかも、当然相続に関する知識は持っているハズです。

その為、相談相手として”ハズレ”は有りません、それなりの知識を持っているはずです。

でも、聞きたい事・相談したいこと自体があまりよく分かっていない状態で、その事に付いて”こうしたら良い・ああしたら良い”と言われても、更に訳が分からなくなるということも有るのではないでしょうか?
まずは『その事自体をよく分かっていないので、そのこと自体から教えてくれる・分からせてくれる』という事が必要なのではないでしょうか?

 

ではどうやって探すかと言えば、1つの案として、様々な所で行われている無料の相談会(特に銀行さんの)を利用して探すのが良いと思います。

これは、そのような相談会で”相談”した方が良いと言う意味ではなく、その相談会で“相談を受けてくれている人を見に行く”という意味です。
(モチロンそのまま、相談してもO.Kですし。)

あくまで「誰に相談したら良いか?」に対して、その「誰」を探す為という意味です。

その理由としては、3つほどあります。

  • 理由1、通常専門家に相談すると、相談料が掛かりますが無料です。
  • 理由2、事前に何のプロか解りますし、相談しつつアドバイスがもらえれば、参考・勉強にもなる。
  • 理由3、実際にその”相談者”に会える為、正式に相談を受けてもらう前に自分と合うかどうかを判断できる。

といった所が主な理由です。

理由1については無料ですから、利用しない手は有りません。
しかしそういう相談会に行ったら、また何か買うとか何かをしろとかなんとかってなりそうで…と、気にされる方も多いと思います。
その通りで相談会を開催する側は、営業上の目的から、その時をキッカケにしたい、何か切り口を見つけたい、理由付けをしたい、というのが本音です。
その為、もし何かを買いませんか?しませんか?と勧められたりした時に、その気が無い場合は断るか、かわすしか有りません。

しかしここだけの話、私も以前の会社勤めの時は銀行さんや不動産会社などで沢山の相談会をやってきましたが、実は相談会って参加者を集めるのが大変なのです。
相談会を開催して出席者が集められなければ、上から怒られます。

もちろん、人気で出席者多数というような相談会も有りますが、多くの場合欠員状態というのが実情です。

ですので、上のほうの偉い方は別にして、現場の担当者や営業の人間からしてみると、出席してくれるというだけでも大変ありがたいのです。
(まぁ、表情や言葉には出しませんが・・・)
ですので、利用出来るなら遠慮せず利用してみてはいかがでしょう?

理由2については、知識が不足しているのですから、自分に必要な知識を与えてくれる良い機会になります。
この”必要な知識”と言う事がポイントです。

例えば遺言に付いての知識が必要な場合、本を開くと何種類かの遺言の種類がのっていて、また作成の仕方はこうでああで…、と情報量が多すぎてとりあえず自分に必要な知識がどれなのか?が分かりません。
細かい事はとりあえずとして、要点が知りたくないですか?

相談会というものは時間が限られている為、わりとピンポイントでプロから必要な事柄を教えてもらえる事も有るのです。
有り難い話ではありませんか?

また、その相談会が税金に関する事だったとしたとき、出席してみて自分の悩みが解決しそうかどうかで、その後税理士さんに相談が必要かどうかの判断材料になりますよね?
法律に関する相談会だったとしたら、弁護士さんに今後相談が必要かどうかの判断材料が出来ますよね?
相談する専門家が、どの分野の人か絞り込めてくると思いませんか?

理由3についてですが、これが一番重要だと思います。

だれも、感情的や精神的に自分と合わない人や、相談しにくい人と、相談したくないですよね?
自分が相談しやすい人としたいですよね?
こればかりは実際に会って話してみないと分からない事です。

相談会を利用すれば、それが分かりますし、なにより…自分と合わなければ、それっきりで終われますよね?遠慮なく(開催する側も目的が有るのだから…)。

 

例えば、誰か知人に紹介してもらったりすると、自分に合わないからといっても断りづらくないですか?
勇気を出して、自分から弁護士事務所や税理士事務所に相談に行って、お金を払って、(専門能力は別にして)自分と波長や感性が合わない人だと、断るのにまた勇気がいると思いませんか?

 

 

 

 

どの専門家が適切かわからないさてもう1つの、その問題点を解決するのは、どういった人なのか?(誰が適任者か?)が分からないパターンですが、これで悩んでいるという方は・・・、普通で当然です。

 

相続対策で言うと実は、単に弁護士さんに相談すれば全て解決!と言う人や、税理士さんのみで問題無し!という方は、少数派なのです。
各専門家の専門分野は、きっちり別れていますが、バラバラでは解決に進まないという事も多いものです。
実例を出しますと、以前とあるご家族から相談を受けました。相続対策をしないといけない、節税もしないといけない、遺言も作らないといけない、持っている土地やマンションの事も考えないといけない、…との事。

これまで誰かに相談されたかどうか聞くと、モチロンあるとの事。弁護士さんにも税理士さんにも司法書士さんにも建設会社にも、さらには親戚の中の顔役的な人にも相談されたとの事。
それでも、解決しないとの事。
なぜ相続対策をしないといけないと思っているか?を聞きますと、一番の問題点・根本原因は、息子さんの内の一人(長男)が放蕩息子で財産を散財して…という事でした。
相談した時、何とアドバイスされたかを聞きますと、弁護士さんは遺言書を作りなさいと、税理士さんは節税の為マンションを建てなさいと、建設会社さんもマンション建てたらと、司法書士さんは(放蕩息子以外に)どんどん贈与していきなさいと、親戚の人からは私が説得してみようか?といわれたとの事。(どのアドバイスも正解だと思います。)

 

じゃあなぜそうしていないの?解決していないの?というと、その方が言われたのは、

「そんな事は分かっているんです。
でも、遺言書を作っても今どんどん我が家のお金を浪費しているのを止められないんです。マンションを建てたら相続税が安くなる事も知ってます。
でも我が家のお金が無くなったら、土地を売らないといけないかもしれない。マンション建てたらそんな訳にはいかないでしょう。
どんどん贈与してって言うけど、家族でその放蕩息子の行動が止められないんですよ?その子が知らない間にそんな事してその子にばれたら、家族で血を見るような大喧嘩です」

との事でした。

 

専門家の言う事がバラバラでどうして良いか分からない

 

この話、第三者から見ると専門家のアドバイス通りにするしかありませんし、なんでしないの?と思うくらいかもしれません。
しかし家族や当の本人達にとっては、赤の他人では無いだけに切っても切れない事も有りますし、納得できない事など様々な感情も絡んでくるのです。

 

実際に私がアドバイスして実行された事は何かと言えば、遺言書を作り、マンションを建て、税理士さんの指導の下キャッシュフローの改善を図り節税を図り…と基本的な方向性や事柄は何も変わりありません。

ではなぜ実行に移せたのか?解決出来そうだとこのご家族は思われたのか?と言えば、このご家族の将来こうなりたい・こうありたいという希望要望を踏まえた全体像を提案し、その上で1つずつ説明してあげたのです。

 

初めに、

「念の為ですが、〇〇さんが相談されてきた専門家の方々のアドバイスは、間違っていないと思います。でも〇〇さんからすると要は、みんな言う事はバラバラだし、あっちの話に合わせるとこっちはどうなるんだ?、そっちの話にのるとここの話はどうなるんだ?、みんな自分の(相談した専門家の)関係する事しか言わないじゃないか?、その話にのってもいいけど、どれも一部しか解決しないじゃないか?残った問題はどうしてくれんだ?・・・って事でしょ?」

と お話しすると、「そうなんです。」との事。

 

そこで、
「みなさん(専門家の方々)、悪気が有って言われたんじゃないんですよ。皆さんプロなんです、プロにはその道の分野が有るものなんです。 例えば弁護士さんはココからココまで、税理士さんはココからココまで、という具合に…」
と説明させて頂きました。

その上で、

「遺言書を作ると“〇〇”と“〇△”は解決出来ます。でも“△△△”については法律上、解決できません。

ですので、遺言書ではなく贈与で対処しましょう。例えば、この土地のごく一部だけで良いので…。

節税だけからいうとこの土地にマンション建てるのが効果が一番大きいのですが、そうしてしまうと“〇△□”の事が解決できずに残りますので、こっちの土地にしておきましょう。

そうすれば…となっても対処できますし。その為には遺言書の内容に…の様な事を付け加えられたらどうですか?
でも、これらの事でも、まだ解決出来ない事も有ります。それは…です。
その解決出来ない事の最悪の事態と言うのは…です。

そこで、その最悪の事態と言うのはいつ来るか分かりませんが、今からその事態が来ても対処できるように、また事態を小さくするように…という準備をしていきましょう。どこまでカバーできるか解りませんが、今お話しした最悪の事態からは、良くなると思いますので…」
と対策案の細部をご説明させて頂きました。

そしてここからが大事なのですが、今の様に説明されても殆どの方は弁護士さんや税理士さんなどに上手く説明できませんし、指示出来ません。そこで私が、ご家族と弁護士さんや税理士さんなどに集まってもらい、説明をしたのです。
つまり関係する専門家の方たちの旗振り役、かじ取り役、そうしてもらう為のご家族側の説明役、になったのです。

その後に、色々な対策を進める事が出来ました。

 

専門家が多くかかわる場合はまとめ役が必要

何を言いたいか分かってもらえたでしょうか?

 

その専門家の専門分野だけでなく、他の分野の事にも関わってくれる人・考えてくれる人、全体を分かってくれる人・考えてくれる人に相談する必要が有るのです。
(〇〇の専門家ではなく、〇〇を解決する為に自分の専門分野以外の事も含めて必要な事を分かってくれる・考えてくれる人という意味です。)

 

コーディネーターと言った方が、分かりやすいかもしれません。

専門家達のまとめ役

ご自身で、この件は弁護士さん、この件は税理士さん、この件は不動産屋さん、と分けて対応できる方や考えられる方は、この様な悩みとは無縁だと思います。逆にこの話は「何のこと?」と思っておられると思います。

しかし、弁護士さんのプロとして出来る事出来ない事、税理士さんのプロとして出来る事出来ない事、不動産屋さんのプロとして出来る事出来ない事、がよく分からない人にとっては、「なんでみんな、勝手な事ばかり言うのだろう?」と思っている事も多いようです。

と言うよりも、普段から弁護士さんや税理士さん等のプロの方々とお付き合いが無ければ、こうなって当然です。”〇〇のプロ”は、何をしてくれるか・出来るかをよく知らないと、適当に対応されているのでは?と、不安に思うかもしれません。

ましてや、「悩み」というものがあやふやであったり、的を得ていなかったり、悩んでいる事に対する知識が少なかったりすると、頭の中はバラバラのパズル状態です。

 

 

一つ一つの事柄は納得できても(ましてや“プロ”の方が言う事ですから…)、自分の悩みを考えると自分にとっては全部を足して一つの事なので、とても解決するようには思えない事が多いようです。

 

 

ですのでこの様な場合、どの専門家でも構わないんですが、中心になる人、全体を考えてくれる人、旗を振ってくれる人を探さないといけないのです。

 

因みにこの事例の方は後ほど、「弁護士さんも税理士さんも色々知ってるけど、正直細かい事になると誰に頼んだら良いかなんて分からんからなぁ~(笑)」とおしゃっておられました。

 

先代からマンション経営をされてこられたご家庭で、当然顧問の税理士さんや、知り合いに弁護士さんや沢山の不動産屋さんを知っているような方でも、こうなのです。

 

最近では、各種のプロと提携して多方面の問題を総合的に解決する、という様な仕事をされてる人や会社も有ります。
また相続対策だと”相続対策の専門家”と言う事で、上記の様な旗振り役をメインにされている方もいるようです。
この事例を読まれて、「私もそうなんです。困ってるんです…。」と言う方は、その様な方を探して相談された方が良いでしょう。

 


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