空室になる原因?

空室になる原因?

 空室が増える原因は…

          さまざまです。

今まで、色々な方の所有アパート・マンションを見てきました。
管理会社に頼んでいる方、自主管理の方、一括借り上げの方などなど。

そして、空室問題で悩んでおられる方の物件を見ると正直な所、原因を大別すると多くは無い様に思いました。

1つは、環境の変化に飲み込まれたままの方。
1つは、計画・企画時点ですでに間違っていると思われる方。
最後は、管理が行き届いていない方。

周辺環境の変化。予測は不可能。

1つ目の環境の変化に飲み込まれたままの方については、将来環境がどのように変わるかなど、企画時点・建築時点では誰にも100%の予測は出来ないので不可抗力では有りますが、変化に対応していく可能性は残されていたはずです。

そして空室でずっと悩み続けている方は、申し訳ないですが、ほとんど何もせず・何もやらなかった、という方が意外にいるものです。
(勿論、手を尽くしてダメだった方もいらっしゃいますが。)

ではなぜ、ほとんど何もしなかったのでしょう?

一番多いのは、『うちのマンションは、〇〇が良いから入居者は入るはず!』と言うものです。
『自分の子供は、かわいい』、と言うやつです。

気持ちは分かります、しかし…選ぶのは入居者です、決めるのも入居者です。
入居者の需要や条件、好みや趣味・嗜好、周辺環境などは、どんどん変化しています。

うちのマンションは〇〇なので…は、自分が住む場合の意見に近いものです。
他人が住む場合は、当然他人の判断する事です。

『最近の入居者は◇◇が良いみたい、だから◇◇が良い』が、正解ではないでしょうか?

先のように考えている方は、納得しがたいその事実を、まず受け入れましょう。
認めてしまいましょう。
そして、手を打ちましょう。今からでも遅くありません。
空室の多いマンションと満室のマンション、どちらを所有しているのが良いでしょうか?

できるだけ大きな建物を建てる。表面的な条件を良くする。もう1つの計画・企画時点ですでに間違っている方も、多くいらしたように思いました。
「どうしてこの場所で、この建物?」、「なぜ、こんな建てかた?」と思うことがたくさん有ったからです。

  • ただ大きな建物にするためだったのでは?
  • 新しい商品の建物を売りたかっただけでは?
  • 表面的な利回りを良く見せたかっただけでは?
  • 住むのはあなたではなく、入居者なのですが…

と、何度思ったことか。

ちなみにお気づきと思いますが、これらは殆どが、建設会社に言われるがままに建てた方でした。

このパターンは、新築から3~5年程で空室が増えだし、その後も空室が多いまま、というのが多かったと思います。
(新築時は、何とか入る事が多いのです。)

しかしだからと言って、今さら建て直す訳にもいきません。
スタート時点から間違ってた訳ですから、なおさら早く対処しなくてはなりませんが、この手のオーナーさんは、なかなか重い腰が上がりません。

何故でしょう?

自分の失敗と思っているからです。それを認めるのが嫌なのです。
話を聞いていると、そんな感じをよく受けます。

でも大丈夫です。
そんな計画をすすめた、建設会社が悪いんだから。
向こうは営業のプロなんだから。

(勿論そんな会社ばかりでは有りませんよ。)
それに、住んでいる方がいるなら大失敗では無いハズ。
そんな建設会社の事は忘れて、より多くの人に喜んで入ってもらえる様、手直しをすれば良い事です。
入居者が増えれば、失敗ではなく成功に変わるのですから。

最後の管理についてが一番重要なのですが、ずっと空室で悩んでいる方から話をお聞きすると、ほとんどの方がご自身の物件は〇〇で良い物件ですし、これもあれもやっていますと、おっしゃられます。

自分の物件は大丈夫と思っていても、問題は入居者から見てどうかです。でも実際に見に行くと、「これじゃあ…」の物件が多く有りました。
実際は、清掃が行き届いていない、修繕されていない、などは当たり前でした。

清掃は確かにされてました、しかし毎日住む入居者が気持ちよく住めるレベルかどうか?の視点で見ると…、残念ながらダメでした。

部屋探しをしている方が見に来た時、綺麗に掃除されてる!と、思うレベルかどうか?の視点で見ると…、そこまででは有りませんでした。

管理会社に頼んでも自主管理でもどちらでも良いのですが、大切なのは入居者に入ってもらえる物件かどうか、選んでもらえる物件かどうかです。
大家さんというのは、不動産賃貸事業なのです。
あくまで『事業』なのです。

何をするかも大事ですが、どのようにするかも大事です。

果物屋さんでも、儲かっている会社と倒産する会社が有ります。

リンゴを買いに行って、ホコリまみれでは買う人は少ないと思いませんか?
傷んでいたら買う気が無くなりませんか?
綺麗に拭いてある方が良くないですか?
食べごろは2日後なんて、教えてくれる方が良くないですか?
新鮮で色んな種類を仕入れてくれるお店で、買いたくないですか?

賃貸マンションやアパートがたくさん建っている現在では、管理が行き届いているかどうかは、判断材料ではなく前提条件と思われたほうが、正解だと思います。
そしてそれも、入居者や部屋探しをしている人から見て、高いレベルで。

また同時に、この管理と言う事には、仲介業者さんなど関連する会社との関係がどうか?も含まれます。

自分で管理していようが、管理会社に清掃や立会、修繕手配等を頼んでいようが、それは入居者には直接は関係ありません。
入居者を募集する所から始まって入居者が退去するまで、入居者にとっては一連の事です。

募集から契約、退去までの全てをご自身でしている方もいらっしゃいますが、殆どの場合はどこかの部分を外部に委託しています、又は手を借りています。
その外部に委託している・手を借りている部分についても、当然、入居希望者から見てどうか?が問われます。
外部にお願いしているからその部分は大丈夫…、では済まない場合も有るのです。

実際に有った例としては、募集をお願いしていた仲介会社がしっかりと対応していなかった、という事もありましたし、仲介会社にお願いする時に大家さん側が、募集しにくい条件を付けてしまっていた、という事も有りました。

それらは、入居希望者=部屋探しをしている人からすると、1つの事です。

しかし、外部にお願いしている時には、その部分を検証していない・気にしていない、なんてこともあるようです。

空室対策の具体策は色々あります。
それらの努力をされているのに、埋まらない方も勿論おられます。

なかなか埋められない大家さんには、住む人・入る人の視点が抜けている方が多くいます。
大家さんにとってよい物件と、入居者さんにとって良い物件は同じとは限りません。

具体策ではなくなぜこの様な事を書くかと言えば、この視点から見ると解決策はどれが良いのか、解決策が有るのか無いのかが見えてくるからです。(策は沢山有っても、どの策がその物件に適した方法かは、物件によりけりです。)

入居者目線、これが一番重要です!

なぜならたくさんの物件を見てきて正直な所、築年数がかなり経っていても(30~40年)、立地があまり良くなくても、満室やそれに近い物件も多く見てきたからです。

私の以前のお客さんの文化住宅、築40年ぐらいで駅から徒歩25分、周辺にお店などはあまり無し。
家賃も同レベルの物件では高いほう。でも12室中、11室入居。

なぜか?
見に行って感心しました。

手間暇をかけたかどうかは、伝わってしまうものです。

確かに築40年相当の物件です。見た目もよくある文化住宅です。
でも、まめに掃除がされているのが感じられるのです。
まめに修繕されているのがわかるのです。
この年数の物件でこれだけ手間隙をかけているのは、なかなかだと思いました。

さて、入居者の目線で考えてみましょう。

当然周辺には新しい物件がたくさんあります。
もっと駅に近い物件、設備の良い物件。

しかし、当然それらはこの物件よりは少なからず家賃は高い事が多いハズです。
また、この物件より家賃の安い物件もあります。
しかし、空室が多く管理も行き届いていない。(だから、安いのですが・・・)

この家賃というものは、どうしても(一部の特殊事例を除いて)周辺相場に収斂します。

誰しも、新しくて設備の良い物件がいいに決まっています。
しかし、予算は有るものです。

となると、まずは自分の予算の範囲の物件から選択する事になります。

では、その範囲の物件の中から選ぶときは?

勿論、物件を見に行きます。

そしてその時、選別されます。

見て、感じて、考えて…。
払える家賃・払っても良い家賃の中で、良い物件は…?

意外に皆さん、新しい物件の事は注視していますが、同レベルの物件の事は考えていない事が多いのです。
(新しい物件は、目立つので気が付き易い。)
新しい物件ではなく、同レベルの物件に負けていることが多いのです。

そして、新しい物件にばかり勝とうと考えます。

競合物件ひしめく中で、どうしても大家さんは、新しい物件や立地の良い物件等と比べてしまいがちです。
ですが築年数の違いは、気にならない方には関係有りません。
同じような立地の物件が、全て空室と言う訳でもありません。
それよりも、その家賃でどのレベル・どんな内容の物件かの方が、住む人にとっては大きな判断材料ではないでしょうか?

入居者にとっての費用対効果です。大家さんにとってでは有りません。

たとえ月10万円の1Rマンションでも、住む人にとってその価値があれば、その価値以上があれば、住むのです、安いのです。
たとえ月1万円の家賃でも、損だと思えば住まないのです、高いのです。
入居希望者が、住みたくならないと借りないのです。

予算は3万円だからこのレベルでしょうがない…
でも同じ3万円なら
掃除や修繕が行き届いている物件の方が良い!
住んで、気持ちのよさそうな物件の方が良い!
と、なりませんか?

古くても、間取りが悪くても、満室に近い物件は意外に多く有ります。
もちろん、無理なものもあるとは思いますが、仕事でマンション建築などを、そして空室対策のお手伝いをやってきた人間として正直な所は、この物件はなんとかなるハズ、と思う物件も沢山有ったのです。

しかし、大家さんの考えと入居希望者の考えがズレていては、何ともなりません。
やりようが有りません。

なにせ大家さんの所有物ですから…。

よく有るのはこんな考え方。
古いから、家賃が安いから、入居者が少ないから、だから修繕しない清掃しない。
収入が少ないのにお金を掛けるのは…。

しかし何も、新築物件と競い合わなくても良いのでは?
同レベル・グレードの物件より、少しでも勝っていれば良いのでは?

ぜひ入居者目線で見直してみて下さい。

誰かが住んでいる物件なら、可能性はゼロではないはずです。
たくさん住んでもらえれば、大家さんも入居者さんもハッピーなのですから。


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